フェレンツ・ラドシュ先生との初めてのレッスンでは、バッハの平均律を持って行き、「君の父親の職業は何か?」「君がヨーロッパに来ても、音楽というものを全く理解しようとしてない、ということを知っているのか?」というのが最初のお言葉でした。ガツンとすごい一発。それ以来、和声的に音楽を理解し、聴いている側に理解できる演奏を・・ということを、ゼロからの出発で教えていただきました。その聴き方が出来る聴き手に、ということですが。ラドシュ先生のご自身の演奏は和声感にあふれ、知的でありながらもアクティブでエキサイティング・・・そして何よりも、ヨーロッパ的な芸術性が素晴らしく忘れることは出来ません。楽器の鳴りは倍音が響きわたって同じピアノとは思えない音、また弦楽四重奏をそのままピアノにしたかのような・・・漂う空気の中に音楽が満ちています。そして、魔法のようなモーツァルト!日本では、草津での夏季国際音楽祭のマスタークラスを持っていらっしゃったのですが、現在は高齢ということで、来日はありません。残念です。
三輪恭子さんがブタペストで勉強している期間、長期にわたり彼女の音楽活動を見てきました。彼女は音楽的な理解と演奏技術ともに、特筆すべき上達をしました。大変集中力をもって演奏する事が出来、楽曲に対するそして楽器への精力的なアプローチは、特に19世紀の音楽に効果的です。私は暖かく彼女の将来をサポートします。1998.08.01
フェレンツ=ラドシュ名誉教授 リスト音楽院、ブタペスト